「ディーラー車検が高い…」
「ディーラー車検の営業マンが強引すぎる…」
「ディーラー車検をしたのに故障原因が分からないときがあるのはなぜ」
このような疑問にお答えします。
✔本記事の信頼性
ディーラーといっても、取り扱いメーカー商品が同じでも、運営会社がそれぞれ全然違う場合があることをご存じだったでしょうか。
そう、ディーラーとメーカーはまったく別企業です。
「トヨタなのに…」と思われても、いわゆる上場企業のトヨタ自動車株式会社ではありません。
そのため運営会社の方針や規模によって、サービスのレベルにばらつきがあります。だからディーラー車検を受けても、不満を抱える人が多くなってしまうのです。
そこで、なぜディーラー車検は高いのか。なぜディーラー車検を不満に思う人が多く存在するのかその理由について深堀します。
この記事を読んでいただければ、ディーラー車検の構造をサクッと理解していただけます。
ディーラー車検が高い理由:ディーラーとメーカーの違い
まずはディーラーとメーカーの違いを確認しましょう。
・メーカーは車を作る会社
・ディーラーは車を売り、メンテナンスをする会社
と言えます。
力関係でいうと、メーカー>ディーラーです。
力関係はメーカー>ディーラー
なぜならメーカーが製造する商品がなければ、ディーラーは売上を作ることが難しくなるからです。
メーカーは商品を製造できかつ、研究開発で培った技術があります。
そしてメーカーは、やろうと思えば、メーカー直通で販売も可能ですよね。
一方でディーラーがメーカーになるのは難しいと思われます。
製造工場がないですし、研究開発施設もありませんので。
その結果、メーカー>ディーラーになってしまいます。
ディーラーはメーカー資本と地場資本の2タイプがある
ディーラーは2つタイプがあり、それぞれ特徴をまとめます。
メーカー資本はメーカーからお金を出資されており、メーカーの意向に沿った方針で営業しているディーラーです。
- 売上台数を意識した運営方針であること
- 経営陣はメーカーOB等が多い
- 経営方針、営業方針はメーカー指示
- メーカーから資本を受けているので経営が安定
- 地場資本より従業員の管理も充実している
メーカーの株価を上げる指標の一つに、「新車販売台数」がありますので、言い換えれば株価を意識した運営方針であるとも言えるのではないでしょうか。
地場資本ディーラーは、メーカーと特約店契約を結んだ販売会社で、メーカーから出資を受けているわけではなく、完全に別の会社になります。
- 利益を意識した運営方針であること
- 社長の経営方針に影響を受ける
- 中小企業なので無理な営業が起こりやすい
- 従業員の労働環境が良くない場合が多い
このようにディーラーをひも解くと、ディーラーといっても無理な営業をしている会社はありえるのではないでしょうか。
地場ディーラーの例
たとえばトヨタのディーラーは5つタイプがあります。
- トヨタ
- トヨペット
- カローラ
- ネッツ
- トヨタモビリティ
驚くかもしれませんが、2020年、トヨタのメーカー資本のディーラーは、「トヨタモビリティ東京」だけになりました。
なのでディーラーとメーカーは、まったくの別会社が運営していると考えたほうが良いでしょう。
ディーラー車検が高い理由
さて本題のディーラー車検が高い理由をお伝えします。
- 設備費が高いから
- 人件費が高いから
- 交換部品が純正だから
- フランチャイズ加盟店手数料を払っている
設備費が高い
設備費が高くなる理由は、自動車メーカーが研究開発を進めており、自動車の技術が毎年のように進歩しているからです。
たとえば三菱だと「マイパイロットパーキング」という自動駐車システムを開発しました。
テスラは電気自動車を開発し、自動運転もできますよね。
この新しい技術に合わせて、ディーラーのアフターサービスで新しい設備が必要になります。
これが毎年です。
設備投資額が多額になるのが想像つきますよね。
人件費が高い
ディーラーは、営業マン、整備士、事務スタッフなど雇う頭数が整備工場より多いため、それだけ人件費が高くなります。
なぜ多くの人を雇うかというと、設備投資額を回収するだけの売上を作らなければならないからです。
たとえばディーラーで車が売れず、年商1億円だと、大赤字です。
車を展示するスペース、建物、商品等に多額の費用が掛かっており、これを回収するためには、たくさん車を売らないといけません。
だから車をたくさん売るために営業マンが必要になり、
その補助をする事務スタッフも必要です。
そしてメンテナンスを行う整備士も必要になる。
このように規模が大きいとそれだけ人を抱えることとなり、そしてその人件費をペイするために、ディーラー車検が高くなってしまうわけです。
交換部品が純正だから
自動車部品は大きく分けて3パターンに分けられます。
- 純正部品
- 社外部品
- 中古、リビルト部品
このうちディーラーが取り扱うのは、純正部品のみだと思われます。
おそらくメーカーと結んだ特約店契約に、純正部品以外は取り扱わないことと記載があるんだと思います。
メーカーからすれば、メーカーが製造した部品だけを使わせれば売上UPになりますからね。
一方で町の整備工場では、純正部品以外に、社外部品、中古、リビルト部品などを取り扱っています。
「整備工場は純正部品を使わないで利益を上げている」と思われている方もいらっしゃいますが、私たちの考えではお客様が納得する部品であれば、どちらでも構わないです。
社外部品を売りたいのは、むしろ部品卸業の業者。
彼らは純正部品より社外部品を売ったほうが利益が出ます。
だから整備工場も純正部品を扱いますよ。
根本自動車だと、三菱のイグニションコイルは純正、トヨタのオイルエレメントは社外でも大丈夫というように、メーカー、車種、交換部品、お客様の要望を鑑みて一番ベストと思われる部品をチョイスします。
フランチャイズ加盟店手数料を払っている
地場資本ディーラーはフランチャイズ加盟店手数料を払うことで、メーカーと特約店契約を結ぶと思われます。
加盟店手数料をペイするためには、当然ながらそれだけ利益を出さないと払えませんよね。
新車価格をいじることはメーカーが許可しないため、ディーラーオプション、ディーラー車検等のアフターサービスで利益を上げています。
なのでディーラー車検は高くなります。
今後さらに高くなっていくと予想されます。
ディーラー車検が高くてよくある不満5選
- 値段が高い
- 代車を貸してくれない
- 営業マンが雑でいい加減な人が多い
- 愛車の修理の見積りを依頼すると新車を買えと言われる
- ディーラー車検をしたのに故障原因が分からないときがある
値段が高い
ディーラーの値段が高いのは、
- 設備費が高いから
- 人件費が高いから
- 交換部品が純正だから
- フランチャイズ加盟店手数料を払っている
ですよね。
車はなにをしても高いですが、ディーラーはもっと高いです。
早めに損切りをして、近くの整備工場に依頼するのが良いと思います。
代車を貸してくれない
代車を貸してくれないディーラーは多く存在します。
昔であれば、気前よく代車を貸してくれましたが、最近では事情がだいぶ違っています。
よくあるのが代車を期日までに返さないユーザーが増えてしまったことです。
代車を回収するのに、弁護士に依頼することがありコストがかかりすぎますので、代車を貸さないという方針のディーラーもいるようです。
整備工場は代車を抱えていますが、保有台数は減っていると思います。
なので以前より代車を貸しづらい状況にはなっています。
営業マンが雑でいい加減な人が多い
ディーラーの営業マンはほんといい加減です。
これは私が身をもって経験しているので自信あります。
ディーラーの営業マン=中小企業の営業マンなので、会社から圧力があるせいなのか、売上を伸ばすために無理な営業をするんですよね。
「トヨタなのに…」と思われても、ディーラーの営業マンは上場企業のトヨタ自動車株式会社の社員ではなく、いち中小企業の社員ですから、自分の売上を伸ばすためには少々荒手のセールスが横行してしまっています。
これはなにも消費者に対してだけではなく、整備工場に対しても雑な営業をかけてきます。
すこし長くなりますが、私の実体験を書かせください。
当社はあるメーカーを取り扱うディーラーとお付き合いがあり、すでにリース車を2台借りているところ、営業マンAからもう1台借りてほしいとお願いされました。
当時、駐車場のスペースがなく、景気もよくないので「3台保有するのは難しいので」と丁寧にお断りしました。
ところが、その翌日。
営業マンAが上司を3名つれてきて、「来月から1台リースを増やしてほしい」というのです。
車を1台増やすということは、リース料、自動車保険料、駐車場、メンテナンスコストが増えることなので、簡単に「はいどうぞ」とは言えません。
押し売りのようで嫌な気持ちになりましたが、なんとか断りました。
その数日後。
また営業マンAがきて「リース車を増やしていただけますか」と聞いてきます。
私はあまりにもしつこいので、「御社の決算月はいつですか」と聞きました。
いわゆる決算前に売上を伸ばせば、営業マンAに奨励金等のボーナスが入るのではないかとにらんだからです。
営業マンAは「6月です」と答えて、帰りました。
そして月末。
営業マンAが部長を1名つれて「リース車の件なのですが………」と話し始めます。
あまりにしつこいので、念押しでその営業マンAの部長に、「決算が近いからリース車を売りたいんじゃないんですか」と問いただしました。
すると「実はそうなんです。弊社の決算が今月で、親会社とのかねあいで今月中に数字がほしくて」というではないですか。
じつはこれ、営業マンAが答えた6月ではありません。
本当の決算月は6月以外の月でした。
つまり営業マンAは嘘をついていたのです。
あまりにひどいので、嘘をつく方とは取引できないですと断ると、「それでも、そこをなんとか」と食い下がります。
どこでもこんな雑な営業をしているんだろうなと思い、きっぱりお断りしました。
こんな営業に負けてしまうと、経営は成り立ちません。
ここでの損失を補填するために、既存の顧客に値上げ、代車の貸出制限、無料サービスの廃止等でしわ寄せをしてしまうリスクにつながります。顧客を守るためにも、ディーラーの営業に負けてはダメですね。
ここまでひどいケースは少ないと思います。
でも約束を守れない営業マンは、どのメーカーを扱うディーラーにもたくさんいるので、注意はしたほうがいいですよ。
愛車の修理の見積りを依頼すると新車を買えと言われる
10万キロを超えたお車で、修理を断られるケースがよくあります。
その理由としては、
・修理しても、また他の箇所が壊れやすい
・お客様に納得してもらえる整備ができるか分からない
・修理代が多額になり、新車に乗り換えたほうがお得になる
このあたりがあるあるです。
いままで高額な整備に耐えてきたのに、10万キロを超えたとたん、そのお車は廃車にして、新車を買いましょうと言われます。
ひどい話しですよね。
だいたいこのタイミングで、ディーラーを離れて、整備工場に通う方が多いです。
その大半の方が、ディーラーに対して大きな不満を抱えていました。
一つの車に長く乗りたいと考えるのは、当然ですし、もう壊れるからと言われて、10年以上乗ってきた車を手放すのは名残惜しいと思います。
もちろん廃車をすべきタイミングもあります。
ただし、たいていの場合はディーラーが新車を売りたいだけ。
新車を売ると大きな売上が作れるので、営業マンは昇給しやすいのだと思います。
ディーラー車検をしたのに故障原因が分からないときがある
ディーラー車検をしても、故障原因が分からない事例はあります。
よくあるのは、
・電気系統
・異音がする場合
・多走行のお車の整備
・自動車の構造上の不具合
このあたりではないでしょうか。
とくにディーラーが修理を断りやすい、多走行(10万キロ)を超えたお車は、故障原因が分からないことがあると思います。
特定の故障原因が分からないと、アッセンブリ交換(構成部品の全部の交換)になりやすいですね。
また異音の特定は、ハードルが高く、ディーラーで点検しても「しばらく様子を見てください」と言われてしまうこともしばしばあります。
当社が引き受けた事例で、エスクァイアのリアから「ドン、ドン」という異音修理があったのですが、ディーラーでは対応しきれず、けっきょくスライドドアの緩衝部品の劣化による振動が原因だったことがあります。
レアな事例ですが、ディーラーだとまともに向き合ってくれなくて困っていたと感謝されたのを覚えています。
最後にレアケースで、リコールが発表されてないが、自動車の構造上問題がある場合もあります。メーカー側の設計ミスの場合は、ディーラーにマニュアルがないので故障原因の特定は難しいと思われます。
ディーラー車検は高いがそれでもおすすめな人
ここまでディーラーのデメリットばかりお話しましたが、メリットもあります。
- 近くに信頼できる整備工場がない人
- ブランドに価値を感じる人
近くに信頼できる整備工場がない人
一般的に整備工場は入りづらいですよね。
工場のどこに人がいるのかぱっと見、分からないですし、大きな機械音もして危なそうです。
知り合いが経営している整備工場なら気軽に入れるかもですが、大半の方はそうではないです。
となると、整備工場より「ディーラーのほうが入りやすいなあ」となるのは当然だと思います。
整備工場の数はすこしずつ減っていますから、近くに整備工場がない人もいるでしょう。
費用はかかりますが、ある程度の安心は買えるので、ディーラーも良いと思います。
私の妻も20代の頃に乗っていた車の点検は、ディーラーに任せていたようです。
いまはディーラーは行かないと言ってますが。
ブランドに価値を感じる人
お車の点検費用が高くなっても、〇〇メーカーのディーラーにブランド価値を感じる人はディーラーが良いでしょう。
たとえば大手の自動車保険に加入しており、契約内容も万全で、12か月点検、車検をすべてディーラー済ませても、その対価にあった価値を感じられるのであればそれでよいと思います。
ここは人それぞれだと思います。
いわゆるブランドを買い、安心も買うという感覚に近いですかね。
ただ整備工場には安心がないのか、というとそうではなく。
どこの整備工場も高い技術力はあるはずです。でなければ、倒産します。
しかしながらブランド力はディーラーほどないので、信頼を得るには、コツコツとした営業が必要なのかなと思います。
ディーラー車検の断り方
ディーラー車検を予約しても断れます。
が、営業から電話が来るかもしれません。
そこでうまくキャンセルの連絡をする方法をお伝えします。
予約キャンセルは無料がほとんどだと思います。
営業担当者ではなくディーラーの店舗に電話をする
ディーラー車検の予約やキャンセルが電話受付のみでしたら、営業マンではなく、店舗に電話しましょう。
たいていの場合、「担当に変わりますので」と言われると思いますが、「時間がないので事伝えをお願いできますか」と言いましょう。
その後、事務の方にキャンセルの旨を伝えておしまいです。
すこし無礼な対応かもしれませんが、うっとうしい営業マンであれば、このように取り合わないで第三者を通じて断りましょう。
ディーラー車検の予約をキャンセルするときの言い訳
ディーラー車検の予約をキャンセルするときは言い訳がないと、相手も納得しずらいです。
よくある文句としては、「他社の見積が安くて今回はそっちで」というように金額を理由に断るのが良いでしょう。
もしくは「知り合いの整備士が近くの工場にいるので、今後はその方にお願いしたい」という方法もアリです。
相手が担当の営業マンでなければ「どこですか」とまでは聞かれないと思います。
ディーラー車検が高い理由:まとめ
ディーラー車検が高い理由はこちらです。
- 設備費が高いから
- 人件費が高いから
- 交換部品が純正だから
- フランチャイズ加盟店手数料を払っている
そしてディーラーは、ほぼ地場資本ディーラーで構成されており、メーカーとはまったくの別の会社でした。
そのため「トヨタのディーラーなのに…」といっても、上場しているトヨタ自動車株式会社ではなく、あくまで中小企業なので、ある程度の不平不満が出てしまうのも致し方無いのかなと思います。
ディーラー車検のよくある不満はこちらでしたね。
- 値段が高い
- 代車を貸してくれない
- 営業マンが雑でいい加減な人が多い
- 愛車の修理の見積りを依頼すると新車を買えと言われる
- ディーラー車検をしたのに故障原因が分からないときがある
でもディーラーのブランドに価値を感じる人は、ディーラー車検を依頼したほうがいいと思います。
ただ勘違いしてほしくないのは、メーカーのブランド力をディーラーで錯覚しないようにはしてください。
メーカーとディーラーはまったく別の会社です。
ここをしっかり理解したうえで、ディーラーと付き合うのが良いと思います。